ゲシュタルト療法をファシリテートする、心理療法の専門家「ファシリテーター」がワークショップの雰囲気やセッションの内容などに触れるブログを紹介しています

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ファシリテーター:岡本 綾子

岡本 綾子

2010年度GNJトレーニングコース修了。 2012年度GNJファシリテーター養成コース修了。 Gestalt Awareness Practice Study Group Japan 2017-2019修了。 「身体と心の繋がり」に興味を持つ中で、ゲシュタルト療法に出会う。

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電子レンジを買い替えた(20年ぶりに)

2024年11月21日 19:22

基本的に、家電は壊れるまで使う派だ。大きな出費を避けたいし、まだ使えるものをゴミにするのは、何だか気が引けるからだ。

その分、新しいものを買うときは慎重になる。機能やサイズをしっかり見ながら、各メーカーの製品を比較検討。自分の暮らしに最適なものを選択する。こだわって見つけたものだからこそ、余計に、簡単に捨てたくない気持ちになる。

そんな私の電子レンジが、先日、壊れた。一人暮らしを始めたときに買ったもので、20年以上も使っていた。この機会に思い切って、スチームオーブンレンジを購入した。スチーム(水蒸気)で加熱する機能がついていて、通常の電子レンジでは不可能な「ゆで卵」も作れるらしい。時短調理もできそうだし、以前から欲しいと思っていた。

20年ぶりの新しい電子レンジは、さすがに進歩している。念願の「ゆで卵」は今ひとつだったが、お惣菜やイモ類の温めは格段においしい。もっと早く買い替えればよかったな、と思った。

「家電は壊れるまで使う」という信念はどこから来たのかな?と自分に問いかけてみた。ふと「もったいないお化け」という言葉が思い浮かび、同時に心臓がドキッ!とした。

今の若い人は、「もったいないお化け」を知っているだろうか?私が小学生のころ(もう40年くらい前)に、テレビで「もったいないお化け」のCMが流されていた。食べ物を粗末にする子どものところに「もったいないお化け」が出るという内容で、当時の小学生にはなじみ深い存在だった。

私の心臓のあたりには、今でも「もったいないお化け」がいて、「ものを粗末にすると、お化けが出るよ」と、自分を脅かしているようだ。

ゲシュタルト療法に「鵜呑み(introjection)」という概念がある。「外部から取り込んだ規範や考え方を、噛み砕いたり消化したりせず、そのまま自分のもののように取り込んでいる」という状態のことだ。私の中の「もったいないお化け」も、そんなふうに存在し続けてきたのかもしれない 。

「ものを粗末にする」ってなんだろう。壊れるまで使い続けることが、ものを粗末にしないための唯一の方法なのだろうか。そうではないはずだ。たとえば、手に入れた喜びを感じながら大切に使う。自分のニーズに合わなくなったら感謝して手放す。それもまた、ものを大切にする形のひとつだろう。

自分の物持ちが良いところは気に入っているけれど、今回はちょっと「もったいないお化け」に縛られすぎた気がする。次に何かを買い替えたくなったときは、「今の自分に本当に必要なものは何か」を考えながら、「もったいないお化け」と対話してみよう。

新しい電子レンジに満足しながら、そんなことを考えた。