昨今の気候変動で四季のメリハリが薄れている

この秋は
「この秋」と言うのも憚れるような気温続きだが
彼岸花が一斉に開花しているのを見かけたり
キラキラ輝くススキの穂が風に揺れる一群を見かけたり
数日後に彼岸花の枯れ姿に出会ったり
ふと涼やかな空気の匂いに気づいたり
道端に転がるどんぐりの数が多くなっているのに気づいたり

こうした季節を感じる風景に出会うたびに
ほっと身体が緩むことに気づく

仕事で出かけた琵琶湖畔で
澄んだするどい鳴き声に誘われて見上げた空に
翼を広げた鳶が周遊する姿を見つけたり
水辺にじっとたたずむシロサギやアオサギの姿や
飛翔する美しさに見惚れたり

こうした生きものたちの姿に出会うたびに
一瞬一瞬のかけがえのなさに気づく

季節の微細な変化を肌で感じることが難しくなった今
目で、耳で、鼻で、感じたい
季節の変化を見逃したくない
見逃すのはもったいない

夏も終わらないうちから
おせち料理だの、クリスマスケーキだの
予約販売の広告が出回り
日本全国、世界各国、津々浦々の商品が手に入る時代

四季のメリハリだけでなく
風情というものが乏しくなる一方なのが私は寂しい