電子レンジを買い替えた(20年ぶりに)
基本的に、家電は壊れるまで使う派だ。大きな出費を避けたいし、まだ使えるものをゴミにするのは、何だか気が引けるからだ。
その分、新しいものを買うときは慎重になる。機能やサイズをしっかり見ながら、各メーカーの製品を比較検討。自分の暮らしに最適なものを選択する。こだわって見つけたものだからこそ、余計に、簡単に捨てたくない気持ちになる。
そんな私の電子レンジが、先日、壊れた。一人暮らしを始めたときに買ったもので、20年以上も使っていた。この機会に思い切って、スチームオーブンレンジを購入した。スチーム(水蒸気)で加熱する機能がついていて、通常の電子レンジでは不可能な「ゆで卵」も作れるらしい。時短調理もできそうだし、以前から欲しいと思っていた。
20年ぶりの新しい電子レンジは、さすがに進歩している。念願の「ゆで卵」は今ひとつだったが、お惣菜やイモ類の温めは格段においしい。もっと早く買い替えればよかったな、と思った。
「家電は壊れるまで使う」という信念はどこから来たのかな?と自分に問いかけてみた。ふと「もったいないお化け」という言葉が思い浮かび、同時に心臓がドキッ!とした。
今の若い人は、「もったいないお化け」を知っているだろうか?私が小学生のころ(もう40年くらい前)に、テレビで「もったいないお化け」のCMが流されていた。食べ物を粗末にする子どものところに「もったいないお化け」が出るという内容で、当時の小学生にはなじみ深い存在だった。
私の心臓のあたりには、今でも「もったいないお化け」がいて、「ものを粗末にすると、お化けが出るよ」と、自分を脅かしているようだ。
ゲシュタルト療法に「鵜呑み(introjection)」という概念がある。「外部から取り込んだ規範や考え方を、噛み砕いたり消化したりせず、そのまま自分のもののように取り込んでいる」という状態のことだ。私の中の「もったいないお化け」も、そんなふうに存在し続けてきたのかもしれない 。
「ものを粗末にする」ってなんだろう。壊れるまで使い続けることが、ものを粗末にしないための唯一の方法なのだろうか。そうではないはずだ。たとえば、手に入れた喜びを感じながら大切に使う。自分のニーズに合わなくなったら感謝して手放す。それもまた、ものを大切にする形のひとつだろう。
自分の物持ちが良いところは気に入っているけれど、今回はちょっと「もったいないお化け」に縛られすぎた気がする。次に何かを買い替えたくなったときは、「今の自分に本当に必要なものは何か」を考えながら、「もったいないお化け」と対話してみよう。
新しい電子レンジに満足しながら、そんなことを考えた。