ゲシュタルト療法をファシリテートする、心理療法の専門家「ファシリテーター」がワークショップの雰囲気やセッションの内容などに触れるブログを紹介しています

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ファシリテーター:室城 隆之

室城 隆之

家庭裁判所調査官を経て、現在は江戸川大学社会学部人間心理学科教授(心理学博士)。精神分析的心理療法、集団心理療法、交流分析、ゲシュタルト療法を実践している。臨床心理士。公認心理師。再決断療法士。日本ゲシュタルト療法学会認定トレーナー。

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私とゲシュタルト療法の出会い(4)

2023年4月22日 18:57

 さて、「自分の人生は自分で決めることができる」という交流分析の哲学に刺激され、心理学や社会福祉の勉強を始めた私は、次第にそれを生かすことができる仕事に転職したいと考えるようになりました。そして、非行少年と関わる仕事を目指すようになります。

 なぜ、非行少年だったのでしょう?不思議なことに、今となっては思い出せないのです。自分自身が親に反抗することができなかったため、反抗的な少年たちに魅力を感じたのでしょうか?それとも、どこか不器用な彼らの生き方に、自分を重ねていたのでしょうか?いずれにしても、その時私が選んだのは、非行臨床の道でした。

 皆さんは、人生の中で何回か、後で振り返ると「なぜ、あんなことができたんだろう」と思うほど、何かに一生懸命になったことがありませんか?私の人生を振り返ると、何回かそういう瞬間がありました。その最初が、この時でした。その当時の私の仕事はとても忙しく、深夜の零時ころ帰る毎日でした。独身寮の二人部屋で、部屋の相方は技術者で朝が早かったので、私が帰宅する頃には既に寝ていて、私は弁当を買って車の中で夕食を食べるというような日々でした。そこで、私は相方と共に朝早く出社し、職場で毎朝一時間、公務員試験の勉強をするようにしたのです。今、それをしろと言われても、とてもできないでしょう。若かったんですかね?その時の私は、それまで地に抑圧されていたエネルギーが図にのぼり、何かにとりつかれたかのように動いていたように思います。それが、気づきのサイクルというものだったのでしょうか?そしてその結果、私は幸運にも、家庭裁判所調査官補試験に合格したのです。私が初めて、自分で人生を切り開いた瞬間でした。

 しかし、そんな私を待ち受けていたのは、決して甘くはない現実だったのでした。この続きはまた次回。