ゲシュタルト療法をファシリテートする、心理療法の専門家「ファシリテーター」がワークショップの雰囲気やセッションの内容などに触れるブログを紹介しています

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ファシリテーター:河村 葉子

河村 葉子

2006年に23年間勤めた企業を退職し個人開業。ゲシュタルト療法の哲学を基盤に、個人カウンセリング、ワークショップ、依頼に応じて教え、スーパービジョンを行う。現在もゲシュタルト療法とセンサリーアウェアネスを中心に生徒としても学び続けている。

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人の力と鳥の名前

2022年1月17日 17:20

私は鳥たちの声を耳にするのが好きだ。
木々の梢に、茂みの中に、鳥たちを見つけるとワクワクしながら眺めてしまう。
飛翔する姿にいつまでも見惚れてしまう。
そのたびに「何という鳥だろう?」と思うのだけれど一向に名前を覚えない。
わかるのは鳩、カラス、メジロ、ウグイス、トンビくらいだろうか。

いつも出会った瞬間は名前を知りたいという気持ちが起きるのだけれど
帰宅する頃には好奇心が底に沈んでしまうから調べることもない。
ただ声を聞き、姿を見るだけで満足してしまう。

先日、13歳の子どもと公園を散歩している時のことだ。
1匹のリスが私たちの目の前を走って林に入った。
「あ、リスだぁ」とはしゃぎながら、そうっと林を覗いたがもう見えない。
「尻尾がふさふさだったね」とお喋りしながら振り向いた途端
数羽の鳥たちが目の前に飛び降りてきた。
「わぁ、きれいな鳥。何という鳥?」と13歳が目を輝かせて問う。
何度も見かける鳥だったが名前はすっと出てこない。
「う~ん、セキレイ…だったかなぁ…シジュウカラ…ではないような。覚えてないや」
答える私にうなずきながら、13歳は少し不満げだった。

その日、帰宅した私は野鳥の図鑑を引っ張り出した。
あ、セキレイで合っていた。
私たちが見たのは正確にはハクセキレイという。

私一人での出会いだったらきっと調べなかっただろう。
自分の行動に笑いながら、人の力ってすごいな、という言葉が生まれた。