ゲシュタルト療法をファシリテートする、心理療法の専門家「ファシリテーター」がワークショップの雰囲気やセッションの内容などに触れるブログを紹介しています

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ファシリテーター:室城 隆之

室城 隆之

家庭裁判所調査官を経て、現在は江戸川大学社会学部人間心理学科教授(心理学博士)。精神分析的心理療法、集団心理療法、交流分析、ゲシュタルト療法を実践している。臨床心理士。公認心理師。再決断療法士。日本ゲシュタルト療法学会認定トレーナー。

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私とゲシュタルト療法の出会い(2)

2022年1月17日 20:17

 前回は、私が交流分析と出会うまでの話を書きました。加藤諦三さんの本を通じて交流分析のことを知った私は、交流分析とは何なのか知りたくなり、交流分析の本を探しました。そして出会ったのが、ミュリエル・ジェイムズとドロシー・ジョングウォード(Muriel James & Dorothy Jongeward)の「自己実現への道-交流分析(TA)の理論と応用」(社会思想社)でした。実は、恥ずかしながらそれから30年以上たった最近気づいたのですが、「BORN TO WIN」というこの本の原著のタイトルには、「Transactional Analysis with Gestalt Experiments(ゲシュタルトの実験を用いた交流分析)」というサブ・タイトルがついています。そして、この本の特徴は、そのサブ・タイトルのとおり、ゲシュタルト療法を用いたエクササイズを自分で行いながら、交流分析を学ぶことができるところにあります。それで、私はこの本に載っているエクササイズをしながら、独学で交流分析を学びました。今、振り返ると、私は気づかないうちに、ゲシュタルト療法と出会っていたことになります。
 そのエクササイズの中の1つに、「あまり考えずに、自分がしたいことを、思いつくままにたくさん書いてみる」というようなものがあったように思います。それで、その指示に従ってやりたいことを書いていくと、その中に何回か「心理学を勉強したい」というのが入っていました。そこで初めて私は、自分が心理学を学びたいということを自覚したのです。実は、私の父は大学進学の際に法学部でなければダメという人だったので、私も法学部に進学したのですが、母からは「あなたは心理学に向いている」と言われたことがあり、それが自分の中に残っていたのかもしれません。私は度々抑うつ的になることがあり、その度に死にたいと思うことがありましたが、それは私が父に言われたままに生きてきて、自分の人生を生きていなかったからなのではないかと、このとき思いました。
 それで、私は仕事をしながら心理学の勉強を始めるのですが、この続きはまた次回で。