ゲシュタルト療法をファシリテートする、心理療法の専門家「ファシリテーター」がワークショップの雰囲気やセッションの内容などに触れるブログを紹介しています

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ファシリテーター:中山 史

中山 史

2006年幼稚園の母親学級で、GAF代表・有村凛さんと出会いゲシュタルトを知る。その後、ゲシュタルトを自らの育児に活かすためママ友と育児サークルを立ち上げ7年間活動。2011年ゲシュタルト療法ベーシックコース、2013年同アドバンスコース修了。2017年よりGNJスタッフ

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メキシコにいってきた

2024年10月22日 17:58

9月半ば、メキシコに行ってきました。

成田空港から空路で約13時間。降り立ったのはメキシコの首都メキシコシティ。最終目的地は、IAAGT(The International Association for the Advancement of Gestalt Therapy)が開催される海辺の町ベラクルス。12日間の旅でした。

旅から帰国し、メキシコどうだった?とよく聞かれます。

食事がおいしかった。遺跡が圧巻だった。大会が刺激的だった。などなど、メキシコで過ごした日々のことを思い出して、いろいろに表現して伝えます。

でも、その度に、なんというか、飲み残しのコーヒーみたいな、ちょっと扱いに困るようなものが、私の中に残ることに気づいていました。
ぐっと飲み干して席を立ちたいんだけど、口はとっくにコーヒーを欲しがっていない、どうしよう、みたいな。伝わるだろうか(笑)

今、その感覚を思い出しながらいると、前に読んだ本の一節が、うっすら浮かんできました。

『その空間、その空虚が、その部屋の有用性なのだ』

メキシコの町で見てきた街並み、家々の風景。
パステルカラーに彩られ、明るく光を反射する外壁とは裏腹に、光を取り込まない家々の内側は、薄暗く、ひんやりとして、静かでした。

一見、無愛想に見えて、話してみると明るく、とても優しいメキシコの人たち。そんな彼らと出会いながら、ふとしたある瞬間、彼らの胸のあたりに、ぽっかりとしたスペースがあるような、そんな感覚を味わったことを思い出します。

思い浮かぶままにこうして書いていると、書き出した時より肩の張りが楽になっていることに気づきます。肩から手のひらを通って、何かがすーっと抜けていくみたいです。

「かなしみ」という言葉が浮かびます。

もしも、訪れたその土地が、その土地の持つ「意味」が、わたしに何かを訴えかけていたとしたら。そして、私の中に、そこに呼応する何かがあったとしたら、それはいったいどんなことだったのだろう。「かなしみ」は、どこからきたのか。

言葉にならない旅の余韻は、そこに、わたしにとって大切な「なにか」を含んでいることに気がついています。

旅の終わりがみえてきた。コーヒーを飲み切って、空のカップをテーブルに置き、すっきりと席を立つ。

Adios Mexico! また会おう!

テオティワカン遺跡
テオティワカン遺跡近く、町の一番はずれにあるレストラン
町の洗濯屋さん。パンツから何から、目の前でたたみながら引き渡してくれる