座禅体験(二)
僧侶が申すには
座禅の目的は「心を定めること」です。
怒りや、妄想、欲望に支配されず、無駄な考えをめぐらさなければありのままの自分を肯定できます。いわば心をすっきり洗って、今この瞬間を満たされて生きるための「心の基本形」を確立することが目的です。
「心の基本形」とは、今の自分が何をしているか、何を感じているか、心と体の状態にはっきりと気づいていることです。
座禅の基本には3つの要素があります。
1 気づき=今何をしているか、何が起きているかにありのままに気づいている状態
2 集中=一点に意識を向けている状態
3 継続=気づきと集中を続けている状態
歩く禅
まずは、僧侶の丁寧な導きに従い足を動かします。
素足で床に立ち足の裏を感じながら右足を前後に動かす、次いで左足を前後に動かす。右足、左足、右、左、右、左と繰り返す。
次は右足に体重を乗せる。左足に体重を乗せる。右足、左足、右、左、右、左と繰り返す。次は歩いてみましょう。
右足を前に左足を前に右、左、右、左、右、左~ゆっくり、ゆっくり歩きます。
次は三つの言葉を唱和しながら歩きます。
一歩の動作に三つの言葉を載せます。「右足を上げる、運ぶ、下ろす」「左足を上げる、運ぶ、下ろす」「上げる運ぶ下ろす、上げる運ぶ下ろす、上げる運ぶ下ろす」を心の中で呪文のように唱えながらゆっくり歩きます。気づけば足の裏は汗にまみれ、床に足が吸い付く感じです。
次は7つの言葉を唱和しながら歩きます。
一歩の動作に「上げる、離す、運ぶ、下ろす、つける、移す、乗る」の7つの言葉を載せて一歩、一歩、進みます。
「あげるはなすはこぶおろすつけるうつすのる、あげるはなすはこぶおろすつけるうつすのる」を心で唱えながら歩くのは至難の業です。言葉は詰まり体はバランスを崩し幾たびもふらつきます。
僧侶は申します。「足裏の微妙な感覚に気づき、全身は軽くなります。楽しくて気持ちよくて止めたくない、どこまでも歩き続けたくなります」