私とゲシュタルト療法の出会い(5)
家庭裁判所調査官になると、最初の2年間は研修期間となります。そのうちの1年間は全国から同期が集まって合宿研修を行なうのですが、ここで私は初めて、独学ではなく、専門家から心理学を学ぶことになりました。研修所には様々な流派の心理療法の先生方が来られていて、多くのことを学ぶことができ、充実した時間を過ごすことができました。でも、ゲシュタルト療法の先生は来ていませんでしたね(笑)。
研修期間が終わると、私は、縁もゆかりもない新潟に配属されましたが、良い先輩や仲間に恵まれ、事件も少なく、あまり勉強することもなく(笑)、楽しい時間を過ごしました。そして、さらに2年がたち、私は埼玉県の地方都市に転勤となりましたが、そこでの仕事は、新潟での仕事とはまったく違っていました。まず、事件が多くて忙しく、出会う少年たちも新潟の素朴な少年たちとは違い、すっかりできあがった暴走族の少年たちや、薬物依存など心理的に難しい少年たちでした。そのような少年たちを前にして、彼らに対して何かができるのではないかと考えていた自分の思い上がりは見事に打ち砕かれ、ただただ自分の力不足を痛感する毎日でした。しかし、幸いなことに、周りの先輩たちは皆勉強熱心で、勉強会などを行なって切磋琢磨されており、私もその影響を受けるとともに、このままではどうしようもないと思い、真剣に心理療法の勉強をしようと思うようになったのでした。
それから私は、心理療法の勉強をできる場を探すことになります。もともと私は向こう見ずなところがあり、関心のある心理療法の講座に参加しては、講師の先生にもっと勉強したいので、勉強できる場を紹介して欲しいとお願いしました。その結果、精神分析的な心理療法のトレーニングと共に、交流分析のトレーニングを受けることになったのですが、この続きはまた次回。次回、いよいよゲシュタルト療法と出会います。