私とゲシュタルト療法の出会い(3)
さて、ミュリエル・ジェイムズらの「自己実現への道」のおかげで心理学を学びたいという自分に気づいた私でしたが、さて、どうやって心理学を学んだら良いのかさっぱりわかりません。そこで、いろいろ調べて、私は当時神戸に住んでいましたので、週末に大阪にある「関西カウンセリングセンター」というところに通うようになりました。「関西カウンセリングセンター」では、関西圏で有名な心理学の先生たち(私はまったく知りませんでしたが・・・)が講義をしていて、私はそこで初めてカウンセリングというものを学ぶことになりました。そこでは交流分析の講義もあり、それを教えていたのは何とあの平松みどりさんでした。もっとも、私は大勢の生徒の一人で、直接平松さんと話をすることもなかったのですが、それから数十年を経て、またみどりさんに出会うことになるとは、この時には夢にも思わなかったのでした。
また、一方で私は、京都にある佛教大学の通信教育部に編入し、そこで社会福祉を学ぶことになります。本当は心理学を学びたかったのですが、確かその頃はまだ、通信教育部に心理学科がなかったのではないかと思います。もともとキリスト教系の大学を卒業したのに、今度は佛教大学に通うことになり、いかにもいい加減な私らしいですが、お坊さんの卵のような人たちと同じ寮に入ったり、様々な社会福祉施設や精神病院の見学実習に行ったりして、貴重な体験をすることができました。仕事をしながらでしたので、たいへんではありましたが、初めて自分の好きなことを学べる楽しさの方が勝っていて、充実した日々でした。
そして、次第に私は心理学や社会福祉を活かした仕事に就きたいと思うようになります。交流分析は、「自分の人生は自分で決めることができる。」という哲学を持っています。その哲学を胸に、ついに私は父親の呪縛から離れて、自分の道を進む決断をすることになるのですが、この続きはまた次回。